月のもり

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今日もお客様の夕食にお出しする為に<なずな>を収穫しました。
<なずな>は、畑に不規則に生えているのを見つけ
はさみで生え際を切って収穫しています。
種を蒔く為に肥料を入れ、土を耕し、畝を作って貰った訳でもないのに、
気温が上昇すると自力で芽を出し成長していきます。
管理機で掘り返されても、
根性で命をつなげています。
肥料や水を貰い、間引いてもらって、手をかけ、声をかけられ
成長して行く野菜達とは違う存在。
それこそ、文字通りの<雑草魂>。

これ、スゴく大事なことなんじゃないかな。
<なずな>にはビタミンAやK、カリウムがわりと豊富に含まれていますが、
そんな数字では表されない、
しぶとさとか、めげない根性みたいな、
最近、多くの日本人に欠如している物を、持ち合わせているんだよね。
多分、<七草がゆ>に入れるくらいだから、
日本人が昔から食して来た、<よもぎ>みたいな存在だったんじゃないのかな。
今、都会はアスファルトだらけだから、
<なずな>なんて、食すどころか、見る機会すら減っているのではないかな。

今、スーパーの野菜売り場に行くと、
水耕栽培の野菜が結構、売られています。
点滴のように化学肥料だけで育っているのかな?
<無農薬>って、得意げに書いてあったりするけれど、
工場でライトに照らされ、太陽も知らずに店頭に並んだ野菜も
結構、あるよね。
畑で作られていても、
ビニールマルチで畝が覆われ、
化学肥料をバンバン投与し、苗を植えたと思ったら、
あっという間に収穫されていくレタス類等もよく目にします。
野菜は命なんだよね。
本来のあるべき姿とか、
あるべき成長のスピードが失われていると
思っちゃう事がよくあります。
野菜が成長して行く過程で体験するべき試練が欠如していないか?
そのせいで、それらを食べている人間まで
なんか打たれ弱くなっていないか?

畜産の業界だって、聞く所によればブタの場合だけど
1頭のお母さんから少しでも沢山産ませる為に
帝王切開までして、早産でこの世に誕生させるらしいし。
牛だって、初乳をお母さんの乳首から飲める牛は
ほとんどいないらしい。
基本的には産まれた途端、お母さんから引き離され、
哺乳瓶からほんの少しだけ、初乳を貰うらしい。
ニワトリのブロイラーに至っては、
太陽も風も知らずに成長し、
出荷される時はコンテナにぎゅうぎゅうに押し込まれ、
山と積まれたコンテナで、雨だろうが、炎天下だろうが、
高速道路を突っ走って、と殺場に連れて行かれる。
その時の鳥達は恐怖で口を半開きにし、
目が泳いでいるか、ぎゅっと閉じている。
きっとあの大量のコンテナの中には、と殺場に着く前にショック死する子もいるんだろうな。

話しがかなり逸れました。
今の時代、あるべきスピードで成長を遂げた食材が少ないのではないか、
ということを言いたかったのですが…..。
風に吹かれ、太陽に当たりながら<なずな>を収穫していると、
こういう食材が一番大事、
一番、人間の体や心を強くしてくれるのではないか、
そんなことを思ってしまった、今日の収穫作業でした。

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